枕経とは、本来、臨終の際に本人の枕元で僧侶がお経を上げることをいいます。まさに旅立とうとしている人の心を安心させるために行う読経で、自宅で亡くなる人が多かった時代には危篤時に、あるいは亡くなってすぐに自宅へ僧侶を呼んでお経を上げてもらいました。

現代においては、多くの人が病院で息を引き取ります。危篤時や臨終時に僧侶が病院で読経するといったことはなされていません。自宅や葬儀社等の遺体安置所へ故人を安置させてから、僧侶に読経してもらいます。

故人が亡くなってからの儀式として枕経を依頼する場合、まずは遺体を安置する場所を決定して、そこに故人を移動します。
祭壇は不要ですが、枕元には枕飾りを用意します。白布をかけた小型の机や白木の台の上に、香炉、ろうそく立て、花瓶の三具足を置いて飾ります。そのほか水や一膳飯、枕団子など、地域や宗派の習わしに従ってお供えします。
枕経の依頼は、菩提寺にお願いします。菩提寺がない場合、または菩提寺の都合がつかない場合には葬儀社に確認しましょう。依頼する際には、故人の名前、生年月日、享年、死亡時間などを伝えます。
僧侶が到着したら、故人を安置している部屋へお通しして、枕経をあげてもらいます。時間はおよそ30分から40分ほどが目安です。このときに参列するのは遺族だけで、親せきや一般弔問客は参加しません。

枕経の内容は宗派によって異なります。

・浄土宗
まずはじめに、勧請を行い「十方如来世尊・世尊・釈迦如来」を呼び、仏に懺悔をします。そして、剃刀を故人の頭に当てて十念を読み上げ、仏門に帰依させて戒名を授けます。
それが終わると読経に入りますが、その前に「開経偈」という偈を読みます。これは、教えのすばらしさを説くためです。
読経では、「四誓偈」や「阿弥陀経」「仏身観文」などを読み上げます。
読経後は、「聞名得益偈」「発願文」「摂益文」を順に読み上げていき、南無阿弥陀仏を繰り返して唱えます。最後にこれまでの工程の救いを他方に向けて、共に救われるという旨の「総回向偈」を読み上げます。

・曹洞宗
「舎利礼文」や「遺教経」といったお経を3回読み、回向文を申し上げます。

・臨済宗
「大悲心陀羅尼・観音経」を読経し、最後に和讃などで締めます。

・浄土真宗
浄土真宗では、枕経とは言わずに「臨終勤行」と言います。お勤めも、故人の枕元では行わずに、仏壇や掛け軸に向かって行います。読経を読み上げる前に仏壇の燈明に火を灯して、故人に法名を授けます。読経では、「正信偈」や「仏説阿弥陀経」を読み上げます。

・日蓮宗
読経の前に、勧請を行い諸仏や諸尊を招いて、「開経偈」を読み上げます。
読経後、「祖訓・唱題・宝塔偈」の順に読み上げて、回向します。

・真言宗
「般若理趣経・慈救の呪・陀羅尼・光明真言・御宝号」の順で唱えていきます。


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